安城和泉手延べ麺 独特のつるっ!もちもちっ!を生み出す製法「半生戻し製法」についてご紹介します。
半生戻し麺って何?手延べ麺・手打ち麺・機械麺の違いは?製造工程は?それぞれまとめていますので是非読んでくださいね!
半生戻し製法とは、生麺から乾燥させて半生麺にするのではなく、生麺から乾麺に近い状態まで麺の水分を飛ばし、その後再び麺に水分を含ませて半生麺に戻します。
この独特の「半生戻し製法」によって、生のような食感と美味しさがありながらも常温で長期間の保存が可能になります。生から乾燥させた半生麺と比べると約2倍近く日持ちをします。
他の地域の素麺は冬場に吹く乾燥した風で素麺を乾燥させますが、和泉そうめんは夏の暑い日差しで乾燥させ、夕方頃から吹く三河湾の湿った南東の風で「半生」の状態にするのが特徴です。
現在では衛生上の都合により屋内で乾燥・加湿を行っています。
手延べとは、手で延ばしているから手延べと思われがちですが、そうではありません。生地を熟成させながら麺に延ばしていくことを手延べといいます。何度も熟成を重ねて、直径5cm程度の棒状から1.8mくらいまで延ばしていきます。中には、長いもので約2間(3.6メートル)ほどになる商品もあります。この手延べによって、口当たりがなめらかで、つるんとした喉越し、もちっとした食感と弾力のある麺を生み出します。
手延べは「熟成」が命です。その熟成の鍵となるのが「塩」です。塩は熟成の速度に関係します。熟成は気温で左右されるため、夏と冬では使う塩の量が異なります。毎日、気温をみながら塩加減を調整します。また、長く熟成すればいいというものでもなく、適切な熟成時間を取らないと「コシ」がなくなってしまいます。この調整感覚を身に付けるためには、センスがありやる気がある人でも最低3年くらいはかかると言われています。
生地を捏ねた後、熟成時間を取り、手で薄く、平たく伸ばした麺を包丁で切ります。
機械麺は、熟成時間をほとんど取りません。金型に通したり、圧延して平板状にした後、線切りして麺にします。
前日に用意しておいた塩水に、当日の気温をみて塩の量を微調整します。小麦粉、塩水を合わせて30分くらい練って生地を作り、20~30分ほど熟成させます。
生地を3×15cmの板状にします。
生地を落ち着かせるために30分程熟成させます。
板状から直径5センチ程の棒状にします。
2時間程熟成させます。
熟成の進んだ麺を15mm程のロールに通し、丸く細くします。うどん、ひやむぎ、そうめんによって、こなしの回数が違います。ロールに通すたびに麺を熟成させます。
こなし作業で細くしたものを20~30分程度熟成し、8の字状に麺掛けを行います。
15cmから65cmまで麺を延ばします。1時間30分~2時間ほど熟成時間を取った後、麺を65cmから1m40cm程まで延ばします。
熟成された麺をカド干し機(麺分け機)を通し、麺の貼り付きを離します。
旗に麺をつけて、140cmから160cmまで麺を延ばし乾燥工程に入ります。さらに、170~180cm近くまで延ばした麺を乾燥させます。麺には35~40%近い水分が含まれていますが、これを水分15%くらい(乾麺に近い状態)まで落とします。
20~23%ほど水分を戻します。これが半生製法と呼ばれる工程です。この工程をすることにより、麺の持ちが長くなります。
吊るしている麺を外して台に寝かせ、水分が麺に馴染むようにします。この状態で翌日まで寝かせた後、袋詰めをします。防腐剤は一切使用していません。袋詰めが完了しましたら出荷します。
いかがでしたか?「熟成」と「半生戻し」が安城和泉手延べ麺の美味しさの秘密でした。麺を熟成を重ねて延ばしていき、乾麺に近い状態から半生麺に戻すことで、もちもちっとした食感と、つるっとした喉越しがありながら、長く日保ちさせることができるのですね。「美味しさ」と「長期保存」を可能にする「半生戻し」の方法をみつけた先人の知恵はすごいですね!
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